今回はメーカー業界の就職偏差値について掲載する。
皆さんはネット上に転がっている就職偏差値サイトをみて、あまりの情報の古さに愕然とした経験があるのではないだろうか。
また最近投稿された偏差値サイトでも、個人ブロガーの主観でまとまっており信憑性に疑問があるサイトばかりである。
今回は令和版2chとの呼び名も高いLINEの匿名掲示板「オープンチャット」で導き出されたランキングを紹介する。
LINEのオープンチャットとは
オープンチャットとは、匿名で共通の話題について語ることができる「現代版2ch」のことである。
かつては2ちゃんねるを通じて発信されていたリアルタイムな情報も、参加者らがオープンチャットに移行したことで情報収集において欠かせないツールとなっている。
LINEのホームページには以下のように紹介されている。
オープンチャット「5つの特徴」※LINE公式HPより
巨大グループ「【22・23卒】メーカー格付けグループ」
参加者名(2021年7月12日現在)をほこる、メーカー業界に特化した就職偏差値をテーマにしたグループである。主に就職活動を終えた22卒の就活生、これから就職活動をはじめる23卒、24卒の学生、そして社会人によって議論されている。別の就活系オープンチャットでアンケートをとったところ、参加者の8割が22卒の学生、1割が23卒・24卒、残りが社会人という参加者構成であった。
興味のある方は以下のURLから参加が可能だ。
オープンチャット「【22・23卒】メーカー格付けグループ」
https://line.me/ti/g2/nPNixURtJIZ-mQQdBmv11Q?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default
就職偏差値とは
就職偏差値とは、入ったらいかに「すげーっ」と思われるか、「ドヤれるか」といった軸で決められている。これは入社難易度に比例するため、入社難易度とイコールとして考えてよい。
先に断っておくと偏差値自体は主観的かつ曖昧なものであるが、これからのキャリアを切り拓いていく学生にとっては重要な企業選びの軸の一つになる。
いつの時代も就職偏差値は議論されてきた
昭和時代
就職偏差値に関する議論は、おそらく高度経済成長期頃からあったと考えられる。
1950年代の日本では、地方で農業を継ぐのではなく、大学を出て大企業に入社するという選択肢が当たり前になりつつあった。
当時は経済成長真っ盛りであったため、公務員になるより証券会社や銀行へ入社することがステータスであるという風潮があったという。
私の祖父もそんな風潮に乗っかって、証券会社への入社を決めた若手の一人であった。
平成時代
平成になるとインターネットが普及し、就職活動を進めていくうえで、「2ch」「知恵袋」といったインターネットサービスを使って情報交換が進むようになった。
特に2chにおいては、就職活動スレッドにおいて多くの就活生が夜な夜な議論を交わし就職偏差値表を完成させるようになった。
この就職偏差値表で特に有名なのが、就職偏差値ランキング委員会が運営しているものである。
このサイトは残念ながら、2019年で偏差値ランキングの更新が止まっている。
令和時代
令和になると2chを利用する若者世代が減少し、代わりにLINEのオープンチャットの利用者が増加した。
LINEに登録していれば、誰でも簡単に匿名で話せるという利便性から、就活生の多くが重宝するツールとなっている。
オープンチャットでは昼夜問わず企業の格付けについて日々議論がなされており、最新の情報が日々飛び交っている。
就職偏差値をはかる主な要素
①入社難易度
・人の質(エントリー者の学歴、併願先)
人の質とは、ずばり「どの大学に所属しているか」がメインとなる。
特に、「東京一工」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京工業大学)の学生が内定者の中心といった企業は就職偏差値において高く評価される。
またかなりレア者であるが、中にはスタンフォード大学、カリフォルニア大学、マサチューセッツ工科大学など海外大学の内定者もおり、偏差値ポイントは跳ね上がる。
・年収(現状+転職でいくら伸ばせるか)
東京商工リサーチによると、上場企業(2018年決算、2591社)の平均年収は606万2000円であり、高年収を得たい学生にとっては、この平均年収を大きく上回りたいという思いがある。
世間的には平均年収800万円を超えると世間的に高年収、高学歴層の基準でいうと平均年収1000万円を超えると高年収という感覚だろうか。
・社格(業界順位や知名度)
社格とは企業の格、重厚感、ブランド力、社会的影響力などの複数の要素で構成されているものである。
社格が高ければ高いほど、①関係先企業へのバイイングパワーが強く交渉しやすい、②就職後の転職活動が容易、③役職定年後の待遇が良い(出向など)、④内定先自慢を生涯に渡って可能、、、など例をあげると止まらない。
・勤務地(全国転勤の有無、東京勤務が至高)
いかに東京などの都心、または海外駐在が可能かどうかがこの項目に含まれる。
多くの学生にとって、国内外含めアーバンライフ(都会での生活)は憧れそのものである。
欲しいモノがすぐに手に入り、行きたいライブやイベントに気軽にアクセスできるなど多くの魅力が都会にはあるからだ。
また海外駐在においては、企業のカネで語学力をアップさせたり、レジュメ映え(転職活動時に加点)を行える点が高く学生に評価されている。
一方の地方都市への全国転勤がある企業は、人生設計が難しい点から嫌悪されがちである。
・モテ度(恋愛四季報偏差値)
いかに合コン映えするか、マッチングアプリ映えするか、地元で黄色い声を聞けるかがポイントになる。
恋愛四季報(フェリーチェ運営)では、日本の大企業を中心にモテ具合を神ランク、SSランク、Sランク、Aランク、Bランクの5段階で評価している。
これらのランクに掲載される企業は、合コンを経験した女性社会人による口コミが中心となっており、学生視点では見えづらい貴重な情報である。
いざ大企業に入ったは良いものの、全くモテないなんてことにならないよう、企業チェックに活用すると良いだろう。
②wlb
・残業時間
定時であがり、趣味の時間に充てたいと考える学生は多い。
健康的で充実した生活を過ごしていくうえで、人間らしい働き方ができるかどうかは重視されるべき項目である。
企業のなかには、当初からみなし残業として45時間を与える労働契約をしているところもあり、要チェックである。
・年間休日
労働条件総合調査 によると、年間休日の平均は108日だそう。
特に完全週休2日制を採用している企業は、年間休日数が120日前後になる計算だ。
土日祝を還元して仕事をしている企業も一定数あるため、東洋経済新報社の就職四季報の「有給取得日数」の確認が最も手っ取り早く、正確であろう。
就職四季報2022年版
以上の基準から、導き出されたIT企業の就職偏差値ラランキングは以下の通りである。
なお入社難易度で優劣をつけ難い時は、wlbが優先されることとした。
メーカー業界就職偏差値ランキング
「東京一工上位勝ち」~「大東亜帝国勝ち」ランクまでの8段階に企業レベルを分割しており、食品、自動車、機械、非鉄金属、製薬など多種多様な業界を網羅している。
代表的なランクについて
=東京一工上位勝ち=
芸能人やモデルと付き合えるレベルとして評価できる、唯一無二のエリート集団である。内定者のメインは海外大学など。
このレベルの企業になると、内定すること自体がステータスであり、人生バラ色確実である。
企業としては、外資系BtoCメーカーなどがランクインしている。
外資系BtoCメーカーの中でも、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)日本法人マーケティング部門の評価は就活生、社会人からともに高い評価を受けている。
世間ではP&Gマーケティング出身の人々を、高いマーケティングスキルで次々と組織を変革させていくことから、「P&Gマフィア」と呼んでいる。
有名な出身者として、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)をV字回復させた森岡毅・元CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー/最高マーケティング責任者)、Facebookの日本支部社長を勤めた長谷川晋などがいる。
=東京一工下位勝ち=
人生で一度も挫折を味わったことがないサラブレッド集団である。内定者のメインは東京大学など。
ステータス、給与、モテ度、将来性など全ての要素において、文句の付けようがなく、日本経済を牽引していく頭脳派集団である。
企業としては、業界首位級の高給メーカーなどがランクインしている。
中でもトヨタ自動車は日本経済を牽引する日本一の企業として評されている。
そのプライドからか他自動車メーカーと比較して、開発、生産、販売、管理全てにおいてロジカルさを徹底している。
そのため、トヨタに関わる多方面の協力企業はかなり疲弊しているという噂も。
次世代自動車に対する投資の姿勢も余念がなく、高給取りとして安心して勤め上げることができるだろう。
=早慶・旧帝上位勝ち=
言わずもがな、エリート集団である。内定者のメインは、京都大学、東京工業大学など。
多くの就活生は本音をいえば、これらの企業へ入社したいのだ。
東京大学を出ても入社は容易ではなく、就活社会のオアシスである。
企業としては、まったり高給のBtoBメーカーなどがランクインしている。
このランクで抑えておきたいのが、「化学メーカー」の存在である。旭化成をはじめ、住友化学、東レ、三井化学、三菱ケミカルなど多数の化学メーカーがランクインしている。
化学メーカーは、景気に左右されることなく安定的に需要が存在するため、安心して長く勤め上げることができる業界である。
加えてBtoBビジネスが基本のため、いい意味でも悪い意味でも「ルーチンワーク」が多く残業が発生しにくい特徴がある。
その一方で、化学製品の生産工程においてはほとんどがオートメーション化されており、少数精鋭で組織を機能させることができる点から高給となっている。
まったり高給を目指す高学歴層の就活生は要チェックである。
=早慶・旧帝下位勝ち=
超一流企業である。内定者のメインは、東京一工や早慶上位学部など。
内定を得るには、人一倍の努力が必要とされる。夏のインターンシップやOB訪問など早期での対策が何かしら求められる。
企業としては、世界的な一流メーカーなどがランクインしている。
メーカーの醍醐味として、「海外駐在」があげられる。
海外売上高比率の高いメーカーならば、入社3年以内に一度は海外を経験をしているというケースも珍しくない。
海外駐在を経験したいが、総合商社に手が届かない就活生にはグローバルメーカーがおすすめである。
海外駐在先の現地の国では、商社マン・メーカー社員だらけという状況になっている。基本的には海外売上比率の高いメーカーを選んだうえで、海外駐在を強く希望していればほぼ確実に駐在することができるだろう。
どのメーカーなら海外駐在しやすいかについては、就職四季報の巻末に掲載されている海外駐在人数表が参考になる。駐在先が国別に載せてあるので、入社後の配属イメージを掴むことができる。
先進国やアジアへの駐在を希望していたのに、いざ入ったら中東の砂漠に飛ばされたなんて目も当てられないケースがあるから要注意だ。(ちなみに、日揮や千代田化工建設などのプラント業界の例)
就職四季報2022年版
=MARCH・関関同立勝ち=
一流企業である。内定者のメインは、旧帝大や早慶上智など。
ここでも内定獲得のためには、十分な対策が求められる。
企業としては、競争力の高いBtoBメーカーがランクインしている。
このあたりの企業は非常に、コスパが良い。
なぜならBtoBメーカーで知名度が低いため、企業の実力に見合った優秀な学生の応募が少なくなるからだ。
一例として早慶・旧帝上位勝ちにランクインしているレーザーテックは、数年前まで優秀な就活生から見向きもされなかったが、現在は高い評価を受けている。
企業研究が肝要になってくるが、将来性が高く今後伸びそうなBtoBメーカーに絞って戦略的に就職活動を行うのも一つの手である。
=日東駒専・産近甲龍勝ち=
大企業である。内定者のメインは、MARCHや関関同立など。
人生の勝ち組として、キャリアをスタートさせる。
企業としては、業界2~3番手のメーカーなどがランクインしている。
中でもHOYAは要チェックの企業である。
HOYAは1962年にメガネレンズの製造を、1972年にはコンタクトレンズの製造を開始してから一貫して、目と光にかかわる研究を続けている企業である。
はっきりいって地味な印象を受ける企業だが、5年前と比較して時価総額は4~5倍まで成長している超優秀な企業なのである。
こうした企業に入社することで、5年後、10年後にはより高いステータス、待遇を手にすることができるかもしれない。
主な問題点
①メーカー内の多種多様な業界を網羅するうえで、業界ごとのヒエラルキーをどう処理するか。
②内定者を多く出している企業の意見の偏りについて。
このように問題点も一部孕んでいるため、企業偏差値が±1~2上下することはあり得る。
注意点
最下層だからといって自分の内定先を卑下する必要は一切ないということだ。
このランキング表に掲載されている企業は、P&G、ファイザーなどの外資系企業をはじめ、東証一部上場企業のなかでもcore30,large70,topix100に掲載されているような難関企業ばかりである。
このランキング表に掲載されていること自体が名誉なことであるため、自信をもって内定先を家族、友人、親戚などに伝えよう。
なお就職偏差値は日々上下変動を繰り返しているため、その点は留意頂きたい。
まとめ
就職偏差値ランキングをみて、単に上にあるから、下にあるからといった企業選びはオススメできない。
あくまでも、「就職活動の余韻に浸りたい」「就職活動の成果を他者に分かりやすく伝えたい」といったように用途は限定した方が良い。
日本はモノづくりによって発展してきた国であり、
メーカー就職への就職は今後の日本経済を牽引していく大きな力のひとつになるだろう。