ブルシット・ジョブが高賃金である3つの理由 収入と働きがいの関係性

キャリア

今回は高年収と無駄な仕事の関係についてのテーマだ。
普段、アルバイトや仕事をしていて「こんな仕事どうでも良いのに」と思った経験はないだろうか。
エッセンシャル・ワーカーが低賃金なのに、ブルシット・ジョブと呼ばれる仕事は高賃金という矛盾について解説する。

ブルシット・ジョブとは

ブルシット・ジョブとは、日本語訳で、「クソどうでもいい仕事」という意味である。
デヴィッド・グレーバーによって提唱されている言葉で、岩波書店から日本語訳が出版されている。

「クソどうでもいい仕事」とは、本来A→Bで済んでしまう内容を、A→C→D→Bと余計な人手と手間をかけて行われる仕事のことである。
これは、役所の手続き、マニュアル通りの行動などを行うときに発生しやすい状況である。

ブルシット・ジョブの例として本書では、テレマーケター(電話で営業をかける人)、全く動きがない倉庫の管理人、証券マンの仕事などが挙げられている。

なぜブルシット・ジョブは高賃金なのか

ブルシット・ジョブで高賃金の職業として、金融業界や公務員などが該当する。

①つまらない

ブルシット・ジョブは総じてつまらないことが多い。
つまらないから人手が集まらなくて、給与が高くなるという流れである。

日本の銀行や証券会社、保険会社などを想像してみると分かりやすい。
お客さんが求めていない金融商品を売るために、日頃からの顔出しや挨拶回りなどが重要な業務の一つとなっている。

しかし本来ならば、必要な時に必要な分だけ必要な人に最良の金融サービスを届けることに集中すれば良いだけの話である。

このように需要のないところに営業をかけることから、仕事自体にやりがいや面白さを感じづらい

しかし扱う金融商品の額が大きいため、少数の成約で高額な賃金を享受することができるのである。

②既得権益に守られているから

公務員やインフラ業界などに就職した従業員はよほどのことがない限り解雇されない。
なぜなら、消費者は別の企業からサービスを受けるという選択肢がなく、独占企業として安定的に収入を得ることができるからである。

しかし、仕事自体は常に人数分あるとは限らず、仕事をしていなくても給与は発生する。
ただし他従業員の目もあることから、仕事を作り出す必要がある。

そこで誰も読んでいないような社内報を一日中作成する業務などに代表されるブルシット・ジョブが、多くの従業員に割り当てられたりするのである。
「中間管理職」なんて呼ばれる立ち位置は、かつてのネットワークが発達していなかった時代は機能していただろうが、昨今ではその機能を失いつつある。

③仕事の対価が目に見えづらいから

ブルシット・ジョブは書類上だけでビジネスが完結してしまう場合も多く、実社会にどれほどの+のインパクトを与えたかは分かりづらい。

また例として中間管理職は、上司の命令を単に部下へ伝言するだけということも多く、社会人としての存在価値に疑問が発生しやすい。

ブルシット・ジョブからわかる、エッセンシャル・ワークが低賃金な理由

エッセンシャル・ワーカーは、小売業界、美容業界、物流業界などの現場で働く人を指す。
これらの仕事は、社会の維持に必要不可欠である割には低賃金で収まっている。
その背景にはブルシット・ジョブとは反対に、

①仕事自体が楽しいことが多い、または楽しそうにみえる
(テーマパークでの仕事、音楽関係、芸能関係、美容室など)
②既得権益に守られておらず、競争が激化している
(飲食店、美容室などが代表例)
③仕事自体の対価が分かりやすい
(特に高校生でもできるような仕事、理解できるような仕事がその典型)

といった特徴を持っているからである。

まとめ

ブルシット・ジョブは高賃金をもたらす一方で、多くの従業員を働き甲斐のない仕事に一日中従事させているともいえる。

こうしたブルシット・ジョブは、窓際族働かないおじさんなどを生み出しており、
社会全体でみたときに社会的損失は計り知れない。

今回まとめた『ブルシット・ジョブ』

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