ITコンサル大量採用時代 高学歴の君はどのキャリアを選ぶか

キャリア

コンサルタントの採用が活況を迎える今日、
高学歴層の学生がファーストキャリアとしてコンサルタントを選ぶことが当たり前になりつつある。

しかし、新卒切符を使ってしまっても良いのだろうか

コンサルタントの利点欠点を整理し今後のキャリアを選ぶ上での一助となるようまとめてみた。

ITコンサルとは

コンサルタント(コンサル)とは、
コンサルティングを行うことを業としている個人もしくは法人のことをさしている。


具体的な業務として、
企業の財務諸表を読んで改善点を指導したり、業績を上げるための改善を手伝ったりしている。


これら業務のなかでもITサービスに特化したITコンサルタントが近年急激に増加している。

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増加の背景

①企業のDX化

メーカー・小売業・官公庁など様々な業界で、従来アナログで行なっていた業務をデジタルを取り入れることで効率化していこうという流れが加速している。

この背景には、単に業務の効率化を目的にしているのではなく、株主価値の向上という目的が挙げられる。

日本企業の多くは欧米の企業と比較して、株価の伸び悩みに苦しんでいる。

その背景には、従来のアナログ業務を中心とした働き方によって成長性が低いと判断されているからだ。

このような評価を大きく覆す方法として、次世代技術の導入、DX化などが求められている。

基本的な事業構造が変えにくい一方で、日々の効率的な勤怠管理の DX 化であったり、書類のデジタルペーパー化などを進めることは最も効果が見えやすい。

そのため株主に対して 、DX 化を PR することができ、こうした流れより多くの企業が「業務の効率化+株主価値の向上」といった二つの側面から DX を進めている。

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②高単価案件が多い

企業の DX 化においてはこれまでの所属している社員が全て一から十まで行えるものではない。

そのためITシステムを新たに社内へ導入する場合、専門のプログラミングスキルから組織全体の it 戦略の立案実行まで外部の力を借りる必要がある。

その際に求められてくるのがアクセンチュアやベイカレントコンサルティングなどの IT コンサル企業である。

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これらの企業は多くの企業から DX 化に関する業務を引き受けており、1人当たりにかかる月の料金を設定し、何人動員するかどうかで費用を請求する。

このように人的資本が軸となってくるので、人件費以外はほとんど費用がかからないと言っても良いようなうまみのあるビジネスなのだ。

こうした背景からこれらのコンサルティング会社はデジタル導入において案件をより長期化し、そして複雑化させようとする。

これは、案件の期間が長ければ長いほど、人手が多ければ多いほど儲かるからである。

顧客企業はコンサルティング会社から提案された内容に対して専門知識に乏しいため、
高額な請求があっても納得せざるを得ない。

また「未来への投資」の名の下に、予算が通りやすいという台所事情もある。

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③人手不足

企業の DX 化と高単価案件という側面から各コンサルティング会社は多くの人手を要している。

というのは、「コンサルタント一人当たり月額いくら」といった請求の方法を取り入れているからだ。

そのため一人のコンサルタントが複数の顧客企業を担当することもあるが、人手がそれでも足りないというような状況になっている。

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こうした背景から新卒採用を強化しているわけであるが、新卒採用のメリットとしては中途採用の人やベテランのプロパー社員と比較して低賃金で抑えられるという点がある。

例えば顧客からは月額一人当たり200万円ほど請求しているが新卒の入社したての試合に対しては月額40万円ほどしか支払われてないようなケースである。

こうしたケースは珍しくないが、若手を大量に採用しそして辞めていく人も多い。

コンサルティング会社としては美味しい人材戦略である。

コンサルティング業界を志望する学生の多くは自分自身の成長と他企業と比較して稼ぎやすいという事から入社してくる。

また成長した先には転職を前提として考えており、コンサルティング会社にとっても学生にとっても win-win な関係性が構築できているわけである。

そのため終身雇用だったり組織にぶら下がって生きていきたいと考えている学生には厳しい環境であると言え、全くオススメできない。

ラップトップ, ミーティング, ビジネスマン, 同僚, ビジネスミーティング

東大・京大の就職先企業ランキング

この表はダイヤモンド社が発表した2020年度の東京大学、京都大学の学生らが就職している企業のランキング表である。

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東京大学就職先企業ランキング
ダイヤモンド社発表のランキング表より引用
京都大学就職先企業ランキング
ダイヤモンド社発表のランキング表より引用

見てわかる通り、野村総合研究所(NRI)・アクセンチュア・日本IBMなど多くの ITコンサルを行う企業がノミネートされている。

こうした優秀層の学生は、地頭がいいためこれら企業においても初動から活躍する可能性が高い。 

人気の理由

①高年収

コンサルティング業界は言わずと知れた日本の中でもトップレベルの高年収業界である。

理由は一般的な企業が解決できないような高難易度の仕事を日々こなすため、頭脳をフル回転させる必要があるからである。

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私自身も学生時代に外資系コンサルティング会社のインターンシップに参加したことがあったが、その間は非常に頭が疲れた。

慣れもあるかもしれないが、このレベルの仕事を毎日こなしているコンサルタントが高年収を稼ぐ納得できた。

例えばオープンワークを見てみると、アクセンチュアは最高年収で4500万円を稼いでいるようで、平均でみても864万円と高い。(新卒入社から2~3年ほどしか経過していない社員が多いことを鑑みると非常に高い水準である)

またベイカレントコンサルティングや野村総合研究所、アビームコンサルティングなども同水準の年収を得ている。

②高い成長

日々の業務の水準が高いためサラリーマンとして稼ぐ上で非常に大きな成長を得ることができる。

よくアクセンチュア出身の社員が語るのがプレゼンスキルが向上したという話である。

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プレゼンスキルとは自分の伝えたい商品の内容やサービスの内容を、うまく PowerPoint に落とし込み、お客に納得させ契約に至らせるビジネススキルのことである。

このスキルが身に付くと、自らが起業した際にも新規の顧客開発にも活かせるし、転職先の事業会社などなどにおいてもいち早く成果を上げる土台として活用することができる。

アクセンチュアや野村総合研究所出身者がベンチャー企業で役員をしていることが珍しくないのは、こうしたスキルが身に付いているからであるといえる。

③高いステータス

「コンサルタントはかなりモテる」と言えるのは、コンサルティング企業に勤めているということが高学歴であり高収入であると言う男の大きな魅力を一言で相手に伝えられるからである。


2021年卒のアクセンチュアの採用大学をみてみよう。

スタンフォード大学東京大学をはじめ、高学歴な大学出身者が多いことが分かるだろう。

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アクセンチュアの採用大学

会津大学、青山学院大学大学院、大阪大学、大阪大学大学院、小樽商科大学、お茶の水女子大学、お茶の水女子大学大学院、関西大学、関西大学大学院、関西学院大学、関西学院大学大学院、学習院大学、学習院大学大学院、九州大学、九州大学大学院、京都大学、京都大学大学院、慶應義塾大学、慶應義塾大学大学院、神戸大学、神戸大学大学院、公立はこだて未来大学、国際基督教大学、国際基督教大学大学院、上智大学、上智大学大学院、創価大学、創価大学大学院、中央大学、中央大学大学院、筑波大学、東京外国語大学、東京外国語大学大学院、東京工業大学、東京工業大学大学院、東京女子大学、東京大学、東京大学大学院、東京理科大学、東京理科大学大学院、東北大学、東北大学大学院、同志社大学、同志社大学大学院、名古屋大学、名古屋大学大学院、一橋大学、一橋大学大学院、広島大学、広島大学大学院、法政大学、法政大学大学院、北海学園大学、北海道情報大学、北海道大学、北海道大学大学院、室蘭工業大学、明治大学、明治大学大学院、横浜国立大学、横浜国立大学大学院、立教大学、立教大学大学院、立命館アジア太平洋大学、立命館アジア太平洋大学大学院、立命館大学、立命館大学大学院、早稲田大学、早稲田大学大学院

Cornell University、Lakeland College、Paul Smith’s College 、Saint Johns University、Stanford University、UC Berkeley、University of California, Los Angeles、Yonsei University 他

またコンサルティング企業は潤沢な利益を多くの広告宣伝費や高い給与に回している。

そのため知名度も抜群で給与も高いとなると世の中の多くの異性をとらえることができるだろう。

例えば野村総合研究所は高校生向けの作文コンクールなども主催しており優秀な学生にはかなり知名度があるのではないだろうか。

NRI学生小論文コンテスト

NRIグループは「未来社会創発企業」として、新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担うとともに、日本のみならずアジア、そして世界の発展に貢献してまいります。この一環として、これからの社会を担う若い世代の皆さんに、日本や世界の未来に目を向け、考える機会を持っていただこうと、2006年から「NRI学生小論文コンテスト」を開催しています。

当コンテストではこれまで「2010年の日本と私」「日本の新たな『開国』に向けて」といったテーマを設け、論文を募集してきました。毎年、学生の皆さんから、日本と世界の新たな関係づくりや、明るい未来に向けた斬新で力強い提案をいただいています。

NRIは、コンテストで入賞した若い世代からの提案を、広く社会に公表することによって、若者を含む幅広い世代が、日本と世界の未来を考えるきっかけにしていただきたいと考えています。

池上彰氏をゲストに迎える徹底ぶり 出所:NRI公式HP

懸念材料

①人気はあるものの、大量採用がネック

2021年卒のアクセンチュアの新卒採用人数を見てみよう。

マイナビのページより300名以上の採用を行ったと掲載されている。また2022卒においても例年通り300名以上の大学生を採用しようとしているようだ。

このような大量採用ができる背景には、大量採用大量離職の現実がある。

アクセンチュアはかつては終電を逃すのがあたりまえと揶揄されていたほど激務の体質の企業である。

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現在はかなり改善してきたと言われているが、やはり業務が遅い社員だったり適正がそぐわない社員はプロジェクトへの配置が意図的に減っていくそう。

図太い社員は組織に居座り続けることもできるかもしれないが、成長機会もなくただお荷物のような扱いをされている状況が続けば誰しも辞めたくなる。

世間的には次のキャリア開発といった側面で転職をする人が多いイメージがあるアクセンチュアであるが、マイナスな要因で組織を抜けていく社員が多いということもまた事実である。

これはアクセンチュアに限らずその他の ITコンサルティング企業においても同様である

栄枯盛衰のメガバンク

かつて毎年のように何千人と年間に採用していたメガバンクであるが、国内の景気衰退・預金残高の減少 ・DX 化による人手余剰などにより最近ではかなり採用を絞っていると聞く。

メガバンクもコンサルティング企業と同様に離職率が高いと言われており、大量採用の企業は組織に来つつしがみつきたいぶら下がりたいと考えてる人にはまったくもってお勧めできない。

3大メガバンク、りそな銀行 出所:businessinsider.jp
②ITシステムのハードル低下による希少性の低減

現在はDX化が急ピッチで進められており、需要が供給を上回る景気の良い状況である。

しかし今後の AI の発展であったり、安価な IT システムの誕生などによりこれまでのような専門性の高いコンサルティングサービスが求められなくなる可能性が高い。

こうした状況になった場合、 IT コンサルタントの需要は激減し給与水準やステータスというものがかなり持続困難になることが想定される。

その結果として若手のうちはかなりこき使われたのに、30代40代になった際にはまったりと仕事をしてきた他事業会社の大学同期と給与がほとんど変わらないと言ったお粗末な将来を迎えるかもしれない。

③激務・転職の優位性が持続困難か

大量採用によって ITコンサルタントを名乗る人材が増えてきたことは、転職の優位性が失われつつあることを示している。

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そのため、これまでのように単に「 IT コンサルタントをしていました」というような人材は求められなくなっている。

プラスアルファで専門領域を重点的に詳しくなるだったり、
これからますます求められる AI サービスに詳しくなるなど競争戦略をしたたかに考える必要がある。

まとめ

このように多くのメリットやメリットやデメリットがあるITコンサルタントの仕事だが、
やはり一番強いのはコンサルティング業務を楽しめる人であろう。

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自分自身に適性があれば、給与やステータスに左右されずやりがいのある仕事だからだ。

そのためキャリアを考える際には、今一度現在の状況だけを見るのではなく、
5年後10年後のキャリアを見据え目的を持ったキャリア選択軸を確立する必要がある。

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