今回は金融業界の就職偏差値について掲載する。
皆さんはネット上に転がっている就職偏差値サイトをみて、あまりの情報の古さに愕然とした経験があるのではないだろうか。
また最近投稿された偏差値サイトでも、個人ブロガーの主観でまとまっており信憑性に疑問があるサイトばかりである。
今回は令和版2chとの呼び名も高いLINEの匿名掲示板「オープンチャット」で導き出されたランキングを紹介する。
LINEのオープンチャットとは
オープンチャットとは、匿名で共通の話題について語ることができる「現代版2ch」のことである。
かつては2ちゃんねるを通じて発信されていたリアルタイムな情報も、参加者らがオープンチャットに移行したことで情報収集において欠かせないツールとなっている。
LINEのホームページには以下のように紹介されている。
オープンチャット「5つの特徴」※LINE公式HPより
巨大グループ「22・23卒金融業界格付け」
参加者303名(2021年7月4日現在)をほこる、金融業界に特化した就職偏差値をテーマにしたグループである。
主に就職活動を終えた22卒の就活生、これから就職活動をはじめる23卒、24卒の学生、そして社会人によって議論されている。こうした別の就活系オープンチャットアンケートをとったところ、参加者の8割が22卒の学生、1割が23・24卒、残りが社会人という参加者構成であった。
オープンチャット「22・23卒金融業界格付け【銀行メガバンク 損保 生保 証券 メーカーなど】unistyleじゃない」
https://line.me/ti/g2/5zVrtCrp2sdCAvnX5qKtIA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default
就職偏差値とは
就職偏差値とは、入ったらいかに「すげーっ」と思われるか、「ドヤれるか」といった軸で決められている。これは入社難易度に比例するため、入社難易度とイコールとして考えてよい。
先に断っておくと偏差値自体は主観的かつ曖昧なものであるが、これからのキャリアを切り拓いていく学生にとっては重要な企業選びの軸の一つになる。
いつの時代も就職偏差値は議論されてきた
昭和時代
就職偏差値に関する議論は、おそらく高度経済成長期頃からあったと考えられる。
1950年代の日本では、地方で農業を継ぐのではなく、大学を出て大企業に入社するという選択肢が当たり前になりつつあった。
当時は経済成長真っ盛りであったため、公務員になるより証券会社や銀行へ入社することがステータスであるという風潮があったという。
私の祖父もそんな風潮に乗っかって、証券会社への入社を決めた若手の一人であった。
平成時代
平成になるとインターネットが普及し、就職活動を進めていくうえで、「2ch」「知恵袋」といったインターネットサービスを使って情報交換が進むようになった。
特に2chにおいては、就職活動スレッドにおいて多くの就活生が夜な夜な議論を交わし就職偏差値表を完成させるようになった。
この就職偏差値表で特に有名なのが、就職偏差値ランキング委員会が運営しているものである。
このサイトは残念ながら、2019年で偏差値ランキングの更新が止まっている。
令和時代
令和になると2chを利用する若者世代が減少し、代わりにLINEのオープンチャットの利用者が増加した。
LINEに登録していれば、誰でも簡単に匿名で話せるという利便性から、就活生の多くが重宝するツールとなっている。
オープンチャットでは昼夜問わず企業の格付けについて日々議論がなされており、最新の情報が日々飛び交っている。
就職偏差値をはかる主な要素
①入社難易度
・人の質(エントリー者の学歴、併願先)
人の質とは、ずばり「どの大学に所属しているか」がメインとなる。
特に、「東京一工」(東京大学、京都大学、一橋大学、東京工業大学)の学生が内定者の中心といった企業は就職偏差値において高く評価される。
またかなりレア者であるが、中にはスタンフォード大学、カリフォルニア大学、マサチューセッツ工科大学など海外大学の内定者もおり、偏差値ポイントは跳ね上がる。
・年収(現状+転職でいくら伸ばせるか)
東京商工リサーチによると、上場企業(2018年決算、2591社)の平均年収は606万2000円であり、高年収を得たい学生にとっては、この平均年収を大きく上回りたいという思いがある。
世間的には平均年収800万円を超えると世間的に高年収、高学歴層の基準でいうと平均年収1000万円を超えると高年収という感覚だろうか。
・社格(業界順位や知名度)
社格とは企業の格、重厚感、ブランド力、社会的影響力などの複数の要素で構成されているものである。
社格が高ければ高いほど、①関係先企業へのバイイングパワーが強く交渉しやすい、②就職後の転職活動が容易、③役職定年後の待遇が良い(出向など)、④内定先自慢を生涯に渡って可能、、、など例をあげると止まらない。
・勤務地(全国転勤の有無、東京勤務が至高)
いかに東京などの都心、または海外駐在が可能かどうかがこの項目に含まれる。
多くの学生にとって、国内外含めアーバンライフ(都会での生活)は憧れそのものである。
欲しいモノがすぐに手に入り、行きたいライブやイベントに気軽にアクセスできるなど多くの魅力が都会にはあるからだ。
また海外駐在においては、企業のカネで語学力をアップさせたり、レジュメ映え(転職活動時に加点)を行える点が高く学生に評価されている。
一方の地方都市への全国転勤がある企業は、人生設計が難しい点から嫌悪されがちである。
・モテ度(恋愛四季報偏差値)
いかに合コン映えするか、マッチングアプリ映えするか、地元で黄色い声を聞けるかがポイントになる。
恋愛四季報(フェリーチェ運営)では、日本の大企業を中心にモテ具合を神ランク、SSランク、Sランク、Aランク、Bランクの5段階で評価している。
これらのランクに掲載される企業は、合コンを経験した女性社会人による口コミが中心となっており、学生視点では見えづらい貴重な情報である。
いざ大企業に入ったは良いものの、全くモテないなんてことにならないよう、企業チェックに活用すると良いだろう。
②wlb
・残業時間
定時であがり、趣味の時間に充てたいと考える学生は多い。
健康的で充実した生活を過ごしていくうえで、人間らしい働き方ができるかどうかは重視されるべき項目である。
企業のなかには、当初からみなし残業として45時間を与える労働契約をしているところもあり、要チェックである。
・年間休日
労働条件総合調査 によると、年間休日の平均は108日だそう。
特に完全週休2日制を採用している企業は、年間休日数が120日前後になる計算だ。
土日祝を還元して仕事をしている企業も一定数あるため、東洋経済新報社の就活四季報「有給取得日数」の確認が最も手っ取り早く、正確であろう。
まだ持っていない方は、以下のURLからチェックが可能だ。
就職四季報2022年版
以上の基準から、導き出されたランキングは以下の通りである。なお入社難易度で優劣をつけ難い時は、wlbが優先されることとした。
金融業界就職偏差値ランキング
※2022年2月4日更新
「東京一工勝ち」~「日東駒専産近甲龍勝ち」ランクの7段階に企業レベルを分割しており投資銀行~地銀まで金融業界のあらゆる企業を網羅している。
解説
主要なランクについて
ー東京一工勝ちー
人生で一度も挫折を味わったことがないサラブレッド集団である。内定者のメインは東京大学、海外大学など。
ステータス、給与、モテ度、将来性など全ての要素において、文句の付けようがなく、日本経済を牽引していく頭脳派集団である。
企業としては、投資銀行、政府系金融機関がランクインしている。
投資銀行は、顧客企業の資金調達(IPO,社債発行など)や企業買収(M&Aなど)をサポートするビジネスをしている。
これらの業務は専門性が高く、転職時のスキル・起業時のスキルとして高く評価されていることから、高年収かつ高ステータスな業務である。
一方顧客企業はスピードを求めているケースも多く(株式市場が熱いうちにIPOで資金調達したい、他社に先を越されるまえにM&Aを成功させたいなど)、非常に激務な仕事でもある。
こうした激務な仕事を避けたい高学歴ハイスペック学生に選ばれるのが、政府系金融機関である。
政府系金融機関の良さは、高い公共性をもとに国を動かすような規模のビジネスに取り組めるという業務的魅力があるうえ、WLB(ワークライフバランス)のとれた業務量であることだ。
半官半民ともよばれ、民間企業の良さ(待遇)と公務員の良さ(安定性)をいいとこ取りしたのが政府系金融機関である。
ー早慶旧帝中位勝ちー
超一流企業である。内定者のメインは、東京一工や早慶上位学部など。
内定を得るには、人一倍の努力が必要とされる。夏のインターンシップやOB訪問など早期での対策が何かしら求められる。
企業としては、業界トップ企業、まったり高給企業がランクインしている。
業界トップ企業としては、メガバンクは三菱UFJ銀行、損保は東京海上日動が当てはまる。
三菱UFJ銀行は、数年前から銀行員の大量採用方針を見直してきており、
つい数年前までは入社しやすいと言われてきたが、最近はインターンシップや説明会などへの複数回の参加が必須になりつつある。
詳しい内容は、以下の記事を参考にしてみてほしい。
そして東京海上日動は、損保業界の雄としてだけでなく採用ブランディングの雄としても評価できる。
就活生で東京海上日動を目指す学生らは、東京海上日動を「マリン」とよび、親しみをもって就職活動を進めている。
その背景には、東京海上日動の巧みな採用戦略がある。
東京海上日動は、ほとんどの就活生が利用しているインスタグラムにおいて「モンスターハンターとコラボした広告」を頻繁に流しているのである。
そもそもほとんどの企業がインスタグラムに広告を流すことはしないうえ、
ゲームとコラボして広告を流すというアイデアに富んだ方法は他企業の人事部も参考になる点が多いのではないだろうか。
―MARCH関関同立上位勝ち一
一流企業である。内定者のメインは、早慶上智やMARCHの上位層など。
ここでも内定獲得のためには、十分な対策が求められる。
企業としては、クレジットカード企業、業界2番手企業などがランクインしている。
クレジットカード企業は、
今後のキャッシュレス化社会において、影響力を高めていくと考えられる。
例えば、JCBは独自のQRコード決済事業に参画すると表明しており、
クレジットカードブランドだけでは終わらないという成長戦略がみてとれる。
そのため、フィンテックに携わりたい学生は要チェックである。
ただし出世においては、上司がメガバンクから降りてくるケースが多いため
基本的に諦めたほうが良いだろう。
ー日東駒専産近甲龍勝ちー
優良企業である。内定者のメインは、MARCH/関関同立、日東駒専/産近甲龍の上位層など。
人生の勝ち組として、キャリアをスタートさせる。
企業としては、中堅生保などがランクインしている。
主な問題点
①多種多様な金融企業を網羅するうえで、金融業界の中でのヒエラルキーをどう処理するか。
②内定者を多く出している企業の意見の偏りについて。
このように問題点も一部孕んでいるため、企業偏差値が±1~2上下することはあり得る。
注意点
最下層だからといって自分の内定先を卑下する必要は一切ないということだ。
このランキング表に掲載されている企業は、日本銀行や日本政策投資銀行などの政府系金融機関をはじめ、東証一部上場企業のなかでも名の知れた企業ばかりである。
このランキング表に掲載されていること自体が名誉なことであるため、自信をもって内定先を家族、友人、親戚などに伝えよう。